Sals2008


「ずっと“合宿やりたい!”って言ってたので、ちょうど新しいメンバーと一緒に合宿できてよかったなって思いますね。
仲間意識を持って一番手っ取り早い方法は、“楽しい時間を一緒に共有すること”
私たちのほうは全然意識はしてなくても、新しく入ったメンバーやベリーズの子たちはきっとオリジナルメンバーに気を遣うだろうから、私たちのほうができる限り率先して楽しい時間を作ろうと思いました」


凄くこの辺の意識っていうのを美貴ちゃん自身強く持つようになったんだなって思う。
いや、元々持っていたものなんだけどそれを上手く活かす術を知ったというか。
仲間意識とか、仲間に対する気遣いとか思いとかそういうもの。
そういう物を強く出すようになったんだろうなって思う。それにはガッタスの存在が大きいんだろうなと思う。
彼女は人との間に壁を作ることによる弊害だったり、或いは逆に壁を作られることの辛さを知ってる人。


以前彼女はラジオで「近寄りがたいオーラを持ってると思われている」ことについて話していたことがあって。
それについては自分も以前触れたことがあったけれど、決して彼女自身は人に近づきたくないと思っているわけではなくて。人見知りではあるけれど。
例えば相手に「近寄りがたい」と思われていて、それを感じた自分もそれに呼応するかのように距離を置いてしまう。
そんな状態では決して二人の距離は縮まらないし、仲間なんて無理に決まってる。
彼女は自分から歩み寄る、近づいていくことを学んだんじゃないかなって思う。


彼女が娘。に入った当時の空気は・・・本当に微妙な空気だったと思う。
娘。にしたって純粋にオーディションを受けた新メンバーという形でならいくらでも引き受けてきたけれど、
そういう形ではないし、しかもすでにデビューしている子を新メンバーとして受け入れるなんて。
彼女自身もその辺のことは間違いなく考えていただろうし、娘。メンバーのその「どうやって扱っていいのか」的な空気を感じ取っていたと思う。
それは見ているこちらにも凄く伝わってきていたし、こちらに伝わってくるぐらいなんだから、
当の本人たちにはもっと直接的に感じ取ることができたんじゃないかと思う。
そんな空気を互いに感じ取るからなかなか距離も縮まらない。そんな感じ。


そんな状態の時に始まったのがガッタスで。
もちろん皆多少の得意不得意はあったにせよ、スタートラインは同じ。
スタートから一緒に始まって、練習して試合して・・・一緒に楽しんで、喜んで、時には泣いて。
そうこうしているうちに、自然と仲間に対する意識や想いに改めて気づいて。
そこから徐々に娘。の中でも彼女の存在とかポジションとかが変わっていったんだろうなって思う。


そして、彼女自身が気にかけているように、間違いなく新しく入ったメンバーの子、キッズやエッグの子たちが先輩に気を使っていたのは確かな話で。
去年の幕張で急遽ガッタスに昇格したちっさーも、その試合ではどうしても遠慮してしまい・・・なんてことを語っていたりして。
そういう気づかいや遠慮みたいなものはチームとして絶対に邪魔になるし、弊害になる。
ガッタスに限らず団体行動、グループにおいてという広い意味でもね。
そんな時どちらかが近づいていかなくてはならないのだけれど・・・どうしても若い子、後輩はそういう時に近づいて行きづらいんじゃないかって思う。
だからこそ先輩である彼女の方から近づいて行って、距離を縮めて視線を並べて、そこから生まれる絆。


彼女のそういう姿勢は合宿の時に始まった話ではなくて、自分が一度だけ見に行ったお台場の公開練習。
あの時のレポでも書いたけれど、あの日共に練習していたエッグのメンバーと休憩時間中も密にコミュニケーションを取る様子や、
ミニゲームの間にも積極的にボールに触らせようとしていたり、パスを回していたりと、そんな様子を見ることが出来ていて。
そんな様子がリアルで確かなものだったと確信できた瞬間。


「残念だったのは今回の部屋割り。本当なら、メンバー全員でくじ引きしてペア決めて、二人部屋で寝泊まりしたかった。
もちろん私も本当なら一人部屋のほうが楽だけれど、ガッタスの合宿はチームのコミュニケーションを高めるためのもの。
だから、部屋割りが無理なら・・・ということで、食事の席はくじ引きで決めるようにしてもらいました。
何も決めなければ、やっぱり自然と仲良し同士で固まるから、食事ごとにくじを引いて、全員ごちゃ混ぜで座りました」


本当なら一人部屋の方が楽だけど・・・ってちゃんと本音言ってるところが美貴ちゃんらしいといえばらしい(笑)
自然と仲良し同士で固まるっていうのも本当にある話だよね。その辺ももちろんちゃんと分かってる。
合宿をやりたいとずっと言っていたらしい彼女は、ちゃんとその目的や趣旨も理解し、意識していたんだなってことがすごくうかがい知れる。


「やっぱり練習中は、なかなか個人的なことまでは話せない。
そのぶん食事の時間に、今まで話したことのなかった後輩メンバーの子たちと話せる機会が持てたことはよかったんじゃないかな。
たとえ自分からは積極的に話し掛けられなくても、同じ空間にいれば自然と仲間意識って芽生えてくると思うから。
あと、スタッフさんに「みんなで楽しめるイベントを企画してほしい」とお願いして実現したカラオケ大会で、後輩メンバーたちと一緒になって楽しんだことも印象深いですね。
ベリーズやエッグら後輩メンバーはびっくりしたと思いますよ。スタッフさんやコーチ陣が一緒になって、ワイワイしゃべりながら賑やかに食事したり、メンバーでカラオケするなんて、普通はありえないから(笑)」


練習中はやっぱり技術的な話や、実際のプレーに関する話が主になってしまうだろうしね。
プレーの連携ももちろん必要な要素ではあるんだけど、それは即ちどれだけお互いの事を理解できているかっていうことに依る部分が大きいと思う。
プレーの癖や考え方ももちろんのこと、もっと無意識な感覚、自然に分かるぐらいのもの。
そして、楽しい時間を共有することと最初に語っていたように楽しいイベントや企画を提案したのも美貴ちゃんだっていう話で。
それを他の子たちはどう捉えたのかとか感じたのかっていうのも気になるところなんですけど・・・


例えば茉麻ちゃんは・・・
「たとえば藤本さんって最初は“怖い人かな?”って思ってたんですけど、すごく優しいし面白いし、
合宿中も、私たちのことを常に気にかけてくれたので、すぐに打ち解けることができました」


と語っていて。
ちゃんと美貴ちゃんが意識した事とかやりたかったこととかが伝わっていて、確実に実を結んでいるんだなって感じられる。
嬉しいな。すごく。
最初は怖い人だと思ってたけど・・・なんてのももう今更な話だけど(笑)
何ていうか単純に、自分勝手に、彼女の事をもっと理解してくれる人がまた増えたんだなって感じることが出来たのがすごく凄く嬉しくて。
思わず読みながらニヤニヤしてしまった(笑)


「でも、ガッタスはみんなでいろんなことを乗り越えた結果、こういう雰囲気のチームになった。
そのことを彼女たちも、今回の合宿で少しはわかってくれたんじゃないかなと思ってます。
もちろん、フットサルはコミュニケーションが取れなければ試合に勝てないし、思ったプレーもできないということも。
合宿での練習試合で、ダイレクトパスが何本も繋がった攻撃が出たんですけど、そういうプレーも普段の練習からよく話し合い、コミュニケーションを高めてきたからできるということを、少しでもわかってもらえたなら今回の合宿は成功だったんじゃないかな」


色々な事を乗り越えた結果・・・だよね。本当に。
今回の合宿でも圧倒的な相手を前にして敗戦に次ぐ敗戦を繰り返し、そのたびに知る現実や色々な差。
でも、それを知ることもきっとこれからのための一つの必要な要素で。
練習で技術を磨くことはできる。
でも、それを活かすのは自分自身であり、そして周りのチームメイト、仲間であり。
そういうこともきっと色々な子に伝わったんじゃないかなって思う。
練習試合の最後を勝利で飾れたってのも凄く大きなことだったんじゃないかな。


色々な場面や分野にも通じるものがきっとたくさんあると思うしね。
そして、技術的な面でも語られていることもあって。
雅ちゃんが「私の目標は藤本さんのようにドリブルで何人も抜いたりシュートを決めたりすること」と語っていて。
こういうのはあくまで一例なんだけど、精神的な面、気持ち的な面でも、そして技術的な面でも他のメンバーに対して何かを感じ取って貰えてる。
立派なサブキャプテン。


読めば読むほど美貴ちゃんらしさがぎっしり詰まっていて、凄く素敵。
本当に素敵な一冊。


色々読んでいて本当に合宿が大きいものだったんだなって感じる。
ベリーズのメンバーは試合に居なかったけれど、この前のジョナサンステージでもあれだけいい雰囲気で、
集中して試合が出来ていたガッタスにとって、この合宿の影響がとても大きいんじゃないかなって改めて思う。