雨3
「今日も雨か・・・雨・・・思いだすなぁ・・・。。。何であの時。。。」
折角の土曜日だというのに、雨だとあまり外に出る気も起きない。
あまり有意義ではないなと思いながらも自宅で久々に過ごす休日。
普通の休日・・・のはずだった。
「プルルルル・・・プルルル・・・」
家には丁度自分一人しか居なく、静まり返ったリビングに響く電話の音。
「もしもし?」
ノノl?_?'ル「あっ、○○さんのお宅ですか?」
「はい、そうですが・・・どちら様でしょう?」
ノノl∂_∂'ル「あっ、すみません。私夏焼雅って言います」
「(なつ・・なつやき?随分変わった名前だなぁ・・)」
ノノl∂_∂'ル「そちらに△△さんっていらっしゃいますか?」
「(え?自分?何だろう・・・また変なセールスかなぁ・・・でも会社名じゃなくて名前名乗ってるし・・)居ますけど、何か?」
ノノl∂_∂'ル「実は私、先日雨が降っていてちょうど傘を持っていなくて。その時に・・・」
「(え?どこかで聞いたような・・・)」
ノノl∂_∂'ル「その時に偶然居合わせた方に傘をお借りしたんですけど、名前も聞くのも忘れてしまって・・」
「(名前・・・俺も聞くの忘れてた・・・って・・・?!)」
ノノl∂_∂'ル「どうしようって思っていたんですけど、お借りした傘を見てみたら名前と電話番号が書いてあって・・・」
「え?」
ノノl∂_∂'ル「それでお電話してみたんですけど・・・」
「え・・・いや・・・」
ノノl∂_∂'ル「??」
「自分です」
ノノl∂_∂'ル「え?」
「自分が△△です」
ノノ*l∂_∂'ル「あっ!そうだったんですか!先日は本当にありがとうございました!お陰で大切な面接に遅刻せずに済みました」
「(面接だったのか・・仕事かな?)いえいえとんでもないです。お役に立てて良かった」
ノノl∂_∂'ル「本当にありがとうございます。それで、傘もお返ししたいので・・・お時間戴けないですか?」
「(え?は?)いや、そんな傘なんていいのに・・・でも、折角なので・・分かりました」
ノノl∂_∂'ル「えっと・・・明日の午後とかお時間ありますか?」
「(明日予定何かあったっけ・・・いや、どうでもいいやそんなの!)はい。大丈夫です!」
ノノ*l∂_∂'ル「良かった〜♪でしたら・・・明日3時に・・・えっと・・この間の所で待ってます」
「わかりました」
ノノl∂_∂'ル「では、失礼します」
「はい」
ガチャ
電話は切れた。
今のは一体何だったんだろう。まさかこんな展開が待ち受けているなんて・・・
そもそも今時傘に名前入れるとかどこの小学生だよ・・・とか思いつつ。
名前を入れたのが自分だったのか、或いは昔小さい頃使ってた傘をたまたま持っていただけなのか・・
そんなことは分らないのだが、ただ何よりも大事なのは、また会えるということ。
元より期待していなかったわけではないが、90%以上冗談のつもりであったし、深く考えていたわけでもない。
とりあえず、今はただあの巡り合いの後に再び訪れた幸運を喜ぶこととしよう。
「何着ていこうかな・・・」
デートというわけでもないのにそんなことを意識する自分。
おかしな話。確かにおかしな話。
でも、明日の今頃には・・・
明日の天気予報は晴れ。傘も必要ない。
「・・・明日はいい天気になりそうだ」
そんなことをつぶやきながら自分は窓を開けて外を見た。
外はまだ雨。でも、何故か空がさっきよりも明るく見えた。
完
ノノ;l∂_∂'ル「え?終わりなの?折角このあとの展開が期待できそうなのに?」
「雅ちゃん、時にはちゃんと終わらせずに余韻を残すというかそういうことも大切なんだよ」
ノノ;l∂_∂'ル「うーん・・・みやにはよくわかんない。。。」
「うーん、雅ちゃんにはちょっとまだ早いかな・・・」
ノノ#l∂_∂'ル「みやをバカにするな〜!」
「ごめんごめん(汗」
色々な意味でごめんなさい(ぇ